法令に定めのある場合や労使協定による場合を除いて、使用者が勝手に賃金から控除することはできません。
労働基準法第24条は、賃金の支払いについて、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を、④毎月1回以上一定期日に、支払わなければならないと定めています(賃金支払の四原則)。この規定は、賃金が確実に労働者に支払われることによって、労働者の不当な拘束や生活の不安定を防ぐためにあります。
所得税・住民税の源泉徴収、社会保険料の控除など法令に定めがある場合や、書面による労使協定を結んだ場合には、例外として賃金からの控除が認められます。
会社の車両や備品を破損し、労働者に賠償責任が発生した場合でも、書面による協定がなければ賃金からの控除はできません。
また、前借金や、労働を条件とした前貸の債権と賃金を相殺することは禁止されており(労働基準法第17条)、違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処せられることになります。(同法第119条)