労働者を雇用する際には、一定の労働条件を書面で明示しなければなりません。
労働契約は口頭でも成立しますが、労働条件の内容は、きちんと文書で確認しておかないと、後々トラブルのもとになります。労働基準法では、労働者を雇用する際には一定の労働条件を書面で明示するよう使用者に義務付けています(第15条)。
また、2008年3月から施行された労働契約法(第4条)では、使用者は、労働者に提示する労働条件や労働契約の内容について理解を深める努力をしなくてはなりません。
(必ず書面で明示しなければならない労働条件)
- 労働契約期間
- 就業場所と従事する職務
- 始業・就業時刻、休憩、残業の有無
- 休日・年休などの休暇
- 賃金(締切日、支給日、計算方法等)
- 退職
トラブルを未然に防ぐためにも、採用面接などで、労働条件についての文書でもらえるかどうか確認することが重要です。また、交付された書類、求人票、求人広告などは保存しておきましょう。
なお、採用時に明示された労働条件と実態が違う場合には、労働者は即時に労働契約を解除することができます。この場合、就業のために住居を移動し、14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません(労働基準法第15条)。違反すると30万円以下の罰金刑に処せられることになります(同法第120条)。
これに加えて、2008年4月1日施行の改正「パートタイム労働法」(第6条)では、パートタイム労働者については「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」についても文書を交付することが義務化されています。違反した場合は、10万円の過料となります。
また、2008年3月1日に施行された「労働契約法」(第4条)では、使用者に対して、労働者に提示した労働契約内容の理解を促進することを求めています。